太陽光発電のメリット8選!導入の手順とデメリットも解説

太陽光発電のメリット8選!導入の手順とデメリットも解説

太陽光発電は、東日本大震災以降一気に広がり身近なものになりましたが、メリットについてきちんと理解している人は少ないかもしれません。この記事では、太陽光発電は実際どの程度節約できるのか、その環境へのやさしさ、売電価格、導入手順などを具体的にご紹介していきます。

太陽光発電を導入するメリット8選

太陽光発電を導入するメリット

太陽光発電の導入にはどのようなメリットがあるかを詳しくみていきます。

1.安定した収入が得られる

太陽光発電を設置し発電した電気のうち、余剰分は電力会社に売ることができます。電力の買取価格は「FIT制度(Feed-in Tariff)」に基づき決められています。FIT制度とは「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」のことで、電力会社が電力を一定価格で10年間買い取ることを約束する制度です。日射量が大きく変化することはないため、この制度により、長期間安定した収入を得られることになります。

2.電気代を大きく削減できる

太陽光発電では、作った電気の売電によって電気料金を節約することができます。日本の家庭の太陽光発電の平均年間発電量は、容量1kWにつき1215kWhです。太陽光発電の容量の全国平均は4.5kWhなので、年間平均発電量は5467.5kWh。発電量のうち、売電されているのは平均して68.8%なので、年間平均売電量は3761kWh。売電価格16円(2023年)を元に試算すると年間に60,186円の節約が見込めるということになります。ただし、ソーラーパネルの設置容量が10kW~50kW未満の場合は、30%以上を自家消費に充当させる必要があります。

参考:経済産業省 資源エネルギー庁第74回 調達価格等算定委員会配付資料「太陽光発電について」
参考:経済産業省 資源エネルギー庁「なっとく!再生可能エネルギー」
参考:環境省「令和元年度再生可能エネルギーに関するゾーニング基礎情報等の整備・公開等に関する委託業務報告書」

3.断熱効果で夏は涼しく冬は暖かい

太陽光パネル(太陽電池モジュール)を屋根に設置することにより、物理的な断熱効果が得られます。夏場はパネルが直射日光を遮ることで室温上昇を抑制、冬場はパネルによって屋根からの放射冷却を抑えることで温度低下を防ぎ、室内の暖気を逃しにくくする効果があります。パネルの設置によって室内が快適な温度に近づくため、エアコンの設定温度も抑えられ節約にもつながります。

4.停電しても電気が使える

太陽光発電を導入している住宅は、停電時でも自立運転に切り替えることで電気を使うことができます。停電になるとパワーコンディショナーが停止します。主電源のブレーカーと太陽光発電用のブレーカーをオフにしたうえで、連系運転モードから自立運転モードに切り替えると、非常用コンセントが使えるようになります。パワーコンディショナーから取り出せる電力は最大1500Wになります。発電機などがなくても停電時に電化製品などを使えるのはとても大きなメリットといえます。

5.二酸化炭素の排出がなくエコ

太陽光発電では、二酸化炭素を排出せずに発電します。日本の電力は主に火力発電(76.2%)で作られていますが、石炭や石油といった化石燃料を燃焼させて電気を作る過程で多くの二酸化炭素が排出されます。日本の二酸化炭素排出量の85%がエネルギー起源となっている中で、二酸化炭素をまったく排出しないで発電できる太陽光発電は環境にやさしい発電方法といえます。

参考:経済産業省 資源エネルギー庁電⼒調査統計結果概要
参考:経済産業省 資源エネルギー庁「エネルギーの今を知る10の質問」

6.電気代高騰の影響がない

電気料金に含まれる使用料は使用電力量と電力単価(1kWhあたりの価格)で決まります。火力発電で使用する燃料の輸入価格が中東情勢などで値上がりしている影響で、電力単価も上がり続け、国は「電気・ガス価格激変緩和対策事業」を打ち出し補助を始めるまでになりました。そんな中でも、太陽光発電で発電した電力は無料で使うことができるため、高騰の影響は受けません。ガスやガソリンなども高騰していく中で、コンスタントに使う電気料金の心配がいらないことはうれしいポイントといえるでしょう。

7.再エネ賦課金を削減できる

電気料金は基本料金と使用料、そして再エネ賦課金で構成されています。再エネ割賦金は「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の略で、再生可能エネルギーを「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」によって買い取るための費用を、電気を使う人が電気料金に上乗せして負担するもので、実質的に税金のひとつです。再エネ賦課金は賦課金単価と電気使用量によって決まり、多く使えば使うほど負担額は増加します。つまり、太陽光発電を使い、電力会社から購入する電力量を減らせばその分賦課金は抑えられ、電気をすべて太陽光でまかなった場合は無料になります。

8.補助金が使える

家庭で使う電力のうち50%以上を太陽光発電でまかなう住宅を「ZEH(ゼッチ)住宅(Net Zero Energy House)」といいます。ZEH住宅を新築したり、太陽光パネルを新設してZEH住宅にリフォームする際に要件を満たす住宅は一戸当たり70万円の補助金を受け取れます。さらに、太陽光発電で作った電気を貯める蓄電システムを導入すると、1kWhあたり3万円増額されます。工事にあたっては、「ZEHビルダー」「ZEHプランナー」として登録している建設会社を選ぶ必要があるので注意が必要です。

太陽光発電を導入するデメリット

逆に、太陽光発電の導入でのデメリットにはどのようなものがあるでしょうか。

導入費用が高い

太陽光発電を導入するには、初期費用として80~150万円程度かかります。長期的に見ればコストは回収できますが、高額な負担であるのは間違いありません。自治体によっては、太陽光導入に対し補助金を交付しているので、居住する自治体のHPなどでの情報収集を忘れないようにしましょう。

メンテナンスが必要

太陽光発電システムは、経年劣化で発電率を低下させないために定期的なメンテナンスが必要になります。4年に1度ほどのスパンで、パワーコンディショナーと太陽光パネルを点検します。販売業者による無料点検がある場合もありますが、点検費用は約2万円、パワーコンディショナ―の故障による交換には10万円ほどかかります。風雨にさらされる太陽光発電システムは、故障も起こりやすくなっています。普段から目視での点検をすることで、大きな故障を防ぐことができます。

発電量は天候次第

太陽光発電では、発電量は天気に大きく左右されます。雨の日より晴れの日の方が発電量が増えるのは当然ですが、季節や気温、湿度などによっても発電量は変化します。少しでも発電量を増やすためには、太陽光パネルの定期的なメンテナンスや掃除が必要になります。また、悪天候で発電が難しい日や、夜間でも安定して電気を使いたい場合は、家庭用蓄電池を使うのもひとつの方法です。余剰電力を蓄電しておくことで、停電時などにも長時間利用することができます。蓄電池には、家全体に電力を供給する全負荷型と、一部の部屋のみに供給する特定負荷型があります。

太陽光発電を導入する手順

太陽光発電を導入する手順

それでは実際に太陽光発電を導入する手順を解説していきます。

1.情報収集とシミュレーション

まず太陽光発電について情報を集め、しっかりとシミュレーションをします。自宅の屋根や現在の電気料金について詳細に把握し、予算などを決定したうえで、太陽光パネルメーカーのホームページなどで発電量のシミュレーションをしていきます。

2.見積もりと比較

複数の販売店や施工業者へ見積もりを取り、設置業者を比較します。見積もりにあたっては、現地調査が必要になり、屋根の形や日射量、家の図面などから詳細な確認が行われます。見積もりを比較する際は、総工事費だけでなく、初期費用や電力単価、保証などの面からも細かく確認していきます。

3.契約と事業計画認定の申請

設置業者を選定、契約完了後は、補助金が受け取れる自治体の場合はその手続きを行います。その後、経済産業省へ事業計画認定の申請を出します。電力を買い取ってもらうためには、資源エネルギー庁にこの申請を出し許可を受ける必要があります。

4.設置工事と電力会社との電力受給契約

設置工事には約1週間かかります。設置工事完了後は、電力会社に電力受給契約の申請を出します。受給契約によって、電柱などと配線をつなぎ、売電や電力供給ができるようになります。契約までには数か月かかる場合もあるので申請は早めに出しましょう。

5.太陽光発電の運転開始

業者による竣工検査が行われきちんと動いていることが確認できた後、太陽光発電の運転が開始します。故障やトラブルを防ぐために、定期的にモニターを確認し発電量をチェックするようにしましょう。

太陽光発電のメリットについてまとめ

太陽光発電の導入は、初期費用の高さなどのデメリットもありますが、魅力的なメリットが多くあります。二酸化炭素の排出量ゼロで環境にもやさしく、余剰電気を売電することで大きな節約にもなります。停電時などにも自立運転で電気を使えることもうれしいポイントです。太陽光発電に興味がある方はこの機会にぜひシミュレーションをして、生活がどう変わるかを感じてみてください。

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